リベンジではなくて

スキーを始めて3年目の昨年から、検定2級が欲しくなった。 それまでは、ゲレンデに行って 板を履いてチョロチョロ遊んでいるだけで満足だったのに…。 試験というものは、受からないだろうなと思って受けても、落ちたらそれなりに悔しい。 それで、また受けて、落ちる…を繰り返して今まだここにいる。


上を目指すと苦しくなることがある、そんな気がした。 先シーズンから スキーが ますます大好きになって面白くなってきているのに、検定受験を意識すると気が重くなっている自分がいる。 信じられないんだけど、スキーが楽しくない時間があるんだ。 欲を出すと人間は無邪気ではいられなくなるのかな、と思ったし、欲を出すと物事は上手くいかないものだ、そんな風に感じた。その話をしたら、先輩スキーヤーのMさんが、「それは欲じゃなくて目標だよ。 目標が高い時は 誰だって苦しい。 高くない目標は 目標とはいわないんだから」 って 言ってくれた。 その言葉に救われる思いがした。


昨年のシーズン最後の検定を落ちた後は悔しくて仕方なかった気がする。 あまり悔しくてみっともないので、スキーのことは blog には書くのは止めようと思ったくらいだから。(笑) そして、この悔しさと鬱憤は、2級に受かるまで自分の中で限りなく大きくなっていくに違いないって思った。 だから、今シーズン中に 受からなくっちゃって思っていたんだと思う。 1日でも多くスキーに行こうと思ったし、真剣に講習に参加したし。 で、今シーズン2回目の検定を2月に受けて不合格。 この時は 本当に「頭にきた」。 結果ではなく、検定員の先生の総評にカチンと来た。 検定前と検定後では言うことが変わるからだ。 それでは生徒は納得できないよ。


で、3月末の最後の検定を 1.5点足りなくて落ちたんだけど、…そこで、シーズンを終わりにしないで、4月も何度か雪山へ行った。なんとなく吹っ切れない気持ちをぶら下げていたような気持ちもあったけど、そうではなくて、ただ単純にスキーがもっとしたかったから。 スキーが自分の中でまだ足りない状態だったんだ。  初めて試乗会に行って楽しんだり、新しい友達と講習に行ったり。 他のスキースクールの先生にも習ったりした。 誉めてくれる人にも会った。 検定のポイントを説明してもらって、前よりも理解できた。 段々と自分が受からなかった理由も見えてきた。 スキーは格好で滑るんじゃない。物まねスキーじゃなくて 自分で本当に滑れるようになって初めて安定した滑りができる。 実力が安定していなければ上手く見えなくて当然。 私のスキーはまだ真似しようとしている段階で、自分のものにできてないんだ。 そんなこんなをしているうちに、検定の結果にこだわってシーズンの努力が無駄になったように感じていた自分が馬鹿らしく思えてきた。 そして、シーズン最後に もう一度 講習に行ってみた。 シーズンの最後に、高い講習料を払って習ったって、来シーズンまでに忘れてしまうかなあ。 無駄になっちゃうかな。でも、行ってきたよ。


私にとってのスキーは職業ではなく趣味だ。 スキーが好きだからスキーをしているだけで、好きだから 少しは上手くなりたいだけだ。 ちょっと上手くなったって なんの名誉にも利益にもならない。 検定2級は 先シーズンから自然に見えてきた目標。 ただ、やっているうちに悔しくて夢中になってしまった…。 でも、検定の合否は 実は小さなことだった。 結果ではなくて 合格ラインに届きたいが為に 努力して変わってきた自分が大切なのだった。 バカだなぁ、あたし。


シーズンの終わりの講習。 シーズン真中に受けた講習と違って、とても理性的に講習を受けることができた。 収穫は多かった気がする。 今シーズン 自分で気付き始めた自分の弱点がはっきりと意識できるようになったし、理論の一部分とつながってきたりした。 そして、来年に向けての新しい課題をもらった。 この週末に出会った数人のスキーヤーは、私の成長を認めてくれたし。 それだけで、いい。 それだけで満足。 (リベンジという言葉がくだらなく思えてきた。もう使わないよ。)


来シーズン、私はまた2級を受けるんだと思う。それはリベンジ(復讐)ではなく、チャレンジだ。 それで、2級に受かっても またギリギリで落ちても、スキーの醍醐味は失われることはないのだ。 スキーの楽しみが減るわけではない。 シーズンを通しての自分の成長が、意味の薄いものになるわけでもない。ちょっと悔しい気持ちに 何日か憂いを感じてグチグチしたりはするだろうけど、私が30日スキーをして得た楽しさは 楽しいまんまなんだ。 他の人に何か言われて、楽しさがかすんで つまらないことのように感じたりするのは全くナンセンス。 そう思ったら、心のわだかまりがすっかり消えていった。 今年は、最後まで(しつこくダラダラと?)滑りに行ってよかった。 納得いくまで滑ったよ。 やっぱりスキーは楽しいものだった。 100% 楽しいものだった。 楽しいことを楽しく感じられる、健全な素直な感覚が戻ってきたよ。


今は、来シーズンの計画を、頭の中で描きはじめている。 検定合格ではなくて、どこのゲレンデの どの斜面を滑りたいのか、誰を誘って(だまして?)どこの山にいこうかって。 ちょっと考えてみるだけで眠れなくなるほど楽しみ。 もう私のスキーにリベンジという言葉はない。 人間は幾つになってもチャレンジしていいんだと思う。 人間は幾つになっても、楽しみを追及していいんだと思う。


No more revenge in my life.
Just call it a challenge.
I will design my life only with positive motive and positive emotion
from now and ever.