小さな名作

たったひとつの冴えたやりかた  by ジェイムス・ティプトリー・ジュニア
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)(ハヤカワ文庫SF/1987) ★★★★☆
80年代のSFです。 ジュニア向け作風の小編。
宇宙での冒険をただひたすらに夢みて育った少女の初航海の物語です。 初めて手にした「自分の宇宙船」で たった独りで宇宙へ飛び出します。 で、宇宙で何が起こるのか…。 このティプトリーの小編は名作。 泣けます。

追記: 少女漫画のような挿絵が入っているので、男性が手に取る際に抵抗があるかもしれません。 ^^; でも、内容は どなたにでも大丈夫。
For book lovers in any generation.


宇宙SFの魅力っていろいろあるけど、ひとつは 宇宙空間そのものであり、作家のファンタジックな 想像力で描かれる宇宙世界の細部描写すべてであります。 もうひとつは、常に生死の間をさまよう密室サバイバル的な心理ドラマ的な要素かなあ、と。 同じ人間を描くのでも、場所を現社会から宇宙に移しちゃうと、急に極限状態で命がけのドラマに変わっちゃう。


11人いる! (小学館文庫)上記ティプトリーを読んでいる時に(懐かしい!)感覚を覚えました。 それが何だったかというと、昔読んだコミックでありました。 萩尾望都の 「11人いる!」 です。 宇宙空間での話という点以外では、ストーリーと設定は全然違うのですが、同質の空気が…。 ティプトリーは少女1人、萩尾作品は 11人のクルーを宇宙船に乗せます。 この2冊は、両方とも 子供向けの読みやすさですが、今 読んでも ちっとも古臭く感じない。 やられたな、と思うと供に、名作は時代を超えて愛されるものだ、と。