一瞬の風になれ 

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-一瞬の風になれ by 橋本多佳子    ★★★★★★

ベストセラー本、やっと読みましたー! 最高〜!!
爽やかで楽しい、涙も汗も笑いもある、高校の陸上部での部活の物語。
本屋大賞など話題の渦中の本なので、下手なコメントは不要ですね。 (もう 皆さん読んでいると思うし)

敢えて書くと、会話やモノローグが非常に上手な作家です。 読みやすい 「若者ことば」 で書かれている のに、軽すぎなくて、どんどん引き込まれていきます。 最近 何冊か読んだ ランニング本の中では、秀逸。


努力家 神谷と 天才 スプリンター?一ノ瀬の魅力は言うまでもなく、根岸、三輪先生、守屋先輩、浦木先輩、小松先輩。 真面目な奴から、少し変わったキャラまで、部活のメンツも魅力たくさんで、おー! 高校の陸上部ってこんなんかな?って自分は夢に見てしまいそうでした。(笑) 試合に負けたり、落ち込んだり、得意、不得意、怪我を乗り越えて、努力していく姿に共感しちゃいます。


この作品の強い魅力は、人間のひとりひとりが本当に丁寧に描かれていることでしょう。 個性あふれる陸上部員が各々しっかりと3Dで浮き出してくる感じ。 仲間同士がお互いに影響しあっていく ちょっとした事件や、きっかけや、会話のひとつひとつが細かに語られている。 そしてそのエピソードのすべてが、友情や仲間との信頼関係にどう影響していくか…そんなデリケートな詳細を正攻法で描いていて、物語の流れに組み込んで 大成功している作品です。 奴らの会話を読みながら、何度一緒に笑ってしまったことか…。

「痛快!青春スポーツ小説」 なんて簡単な一言では評したくない。 人間の触れ合いを書くってこういうことだよね。 読み終わって、なんだか愛しく感じてしまうそんな作品です。
まだ読んでいない方は、是非。 是非とも読んでください。