マーサの幸せレシピ ★★★★★

2001年の作品。リメイク版もあるようですが
このオリジナル版が絶対にいいです。薦めます。

見終わった後に心温まる感じがいいです。
新しい出会いに戸惑いながら、人との絆を築いてゆくストーリー。映画的では使い古されてるネタが、全く新しい映画に仕上がったのは、レストランのシェフという設定の新しさにあるのです。とにかく この女性監督の手腕は素晴らしい。きっとアイデア豊富な人なんでしょうね。ストーリーも、背景にあるヨーロッパの現実も、とてもリアルでありながら無理がなく自然で、実際にそこにある現実のレストランでの話を見ている気持ちになります。撮影も編集もとても丁寧。ここまで自然なリアルさで撮れている映画ってあったかな。

主人公の女性を多面的に撮っている手法に注目したい。プロのシェフとして厨房をしきる彼女、患者としてカウンセリングを受ける彼女、姪子の保護者としてとまどう彼女、そして女性である彼女。少なくとも４つの方向からマーサを描いている。得意も苦手もあり、トラブルも起こす。それでも魅力的な女性像を、より立体的に表現することに成功している。厨房ならではのハプニングに、ユーモアと、チャーミングな人間像が足し合わされて、見事に生きた映画になっています。
子役もよい、脇を固める役者もよい。