かすみがうら

天候は最高でした。 雨予報を退け、涼しい曇り空。 途中ポツポツと来たこともありましたが、午後になっても風は涼しく、地元の私設エイドを楽しみながらの長旅を満喫した・・・そんなレースでした。 
今年のレースにはいろいろな思いをもって臨みました。 去年、途中棄権したので今年はどうしてもゴールに行きたいという思い。 それから、今年は更にスキーに深くハマって楽しかったんだけど、スキーシーズン中にラントレができませんでした。 スキーとランニングのどちらかを諦めるしかないのか、2つの両立は自分には絶対に無理なのか。 目標や付き合い方を変えないと、楽しくなくなっちゃうかなー、と悩める所があって、そんな心のゴチャゴチャを抱えながらも 6時間かけてゆっくり走ってゴールまで行けたら、気持ちが 吹っ切れるかなあ、なんて思っていました。

でも今年のレースはメンタルな辛さではなかったんです。 辛かったのは想定外のことが身体に起こったからでした。 スキーの時に感じていた左股関節と腰の痛みが、見事に蘇ってきたんです。かなりシャープに。(トホホ) 5キロ地点で、路肩に立ち止まってストレッチ。 縮こまった筋肉が伸ばされる気がして、痛みが和らぎました。 しばらく走り、また8キロ地点で痛いのがシンドくて また止まってストレッチ…。 初めてのフルの時よりも、多く立ち止まり 「 ストレッチして、また走る 」 を繰り返し繰り返し、前半 2時間32分。(予定通り) 後半は3時間30分あるから、余裕でゴールだー!!と思っていたんですが・・・。 足と腰の痛みが強くなり、自分には経験のない本当に本当に辛いレースになりました。 それでも、歩くのは嫌だから、ゆっくりトコトコ走って、より痛くない脚の出し方(なーんて)を研究しながら、また振動を殆んどしないで走り続ける最長の歩幅はこのくらいかな?なんて考えながら走っていました。 後半は、何度ストレッチをしたか、覚えていません。1キロ持たなかったから、40回くらいはしたかなあ。 腰が痛いから、上半身を固定しないと痛みが悪化しそうで怖くて…結果、妙に良い姿勢で走っていたので、30キロ地点を過ぎても体力的には全然余裕だったのですが、何せ痛くて脚が動かない…。筋肉が硬直してきて重くって トンでもなく痛い。 左脚が右の3倍くらい重く感じ、足を前に出すたびにキンキーンと痛みが体幹部に刺してきます。 辛くて泣きそうで、そういう初めての「痛い」辛さを味わいました。

過去の掲示板に、みんなが書いてくれた完走体験の中のエピソードを思い出しながら、励みにしてました。(ともちゃん、たけまん、ぴーすけさーん。あなた方の燃える情熱はどこから来るのか、いつか聞いてみたい) 私は痛みには過剰な反応をするので、多分このくらいは大したことないんだろうなぁ、と自分に言い聞かせるんだけど、本当に本当に辛かったです。

かすみがうらの後半の道のりは、私の大好きな道。 左手に海?が見えます。 水のにおいを感じます。 で、のどかな住宅街の中を通る狭い道なんかにも入っていきます。 近所のおばさんが、おにぎりやお茶をくれたり、子供が梅干をくれたり…、都会での職場の往復だけでは感じられない 人々の温かさに癒されながら、やはり かすみがうらはいい大会だなぁと しみじみと感じていました。 「 マラソンを走らないと分からないこと、マラソンを走らないと感じられないことは たくさんある。 ラソンを走らない人生よりも、マラソンを走る人生の方が絶対にいいっ! 」 どうにかこうにかだけど、今マラソンを走っている自分をうれしく感じ、残りの距離を 楽しみながら行こうと思いました。

辛い割りにはかなり冷静に走っていたつもりでした。30キロまで頑張ろうと思いました。 過去2回のマラソンでは30キロ地点で、「あとはゴールに帰るだけだ! 」 と思えて 生まれ変わるように力がみなぎってきたからです。 あの奇跡をもう一度味わいたい、あの強い自分にもう一度会いたい!と思っていたのです。 でも、今回は30キロを超えても、32キロまで行っても 元気に変われる自分に会うことはできませんでした。 35キロ、37キロ、「あと5キロ」と思っても、辛くて絶望的に感じて、とうとう涙があふれてきました。 (それでも それでもゴールに行きたいっ!!) ゴールはまだまだ遠いい気がしました・・・。
そしたら、そこで誰かの声がします。私を呼んでいます。
「きりんさーん! 貴女を待っていたんだよ! 」
天界の友人か!? いや、多摩川マラニックで会ったことがある…陽気で楽しい天使がそこにいました。満面の笑み! 天使と記念撮影をして、いちごを3つ貰って…それから またゴールを目指して走り出しました。 天使に会った後も 軽くなることはない脚が重くて辛かったですけれど、天使に会ってからは うれしさで泣けました。ありがとう。 この終盤の根性は自分でもすごかった、と思うんだけど。 でも それは、根性というよりも ラソンの力 かもしれません。 マラソンに呼び寄せられ、マラソンを走りたいと思い、スタートに立ってしまう人間が全員 引っ張られるこの不思議な力。 調子のいい日はそれなりに、最悪のコンディションの日でさえも グイグイとゴールまで引っ張られる、この力は「魅力」という言葉では表現しきれない不思議さに満ちています。

先輩ランナーの皆さん、ありがとう。 マラソンの力を持ってしても、みんなに出会ってなかったら、今日は きっと走れませんでした。 こんなんですが、ねばってゴールまで走れた自分を 今日は誉めてあげようと思っています。